ボン教の瞑想ガイド
guidance of Bon meditations
初めての方やチベット式瞑想を体験したい方におススメ
◆無常の瞑想 impermanence མི་རྟག་པ
目に見える物体は、すべて移り変わります。例えば小さな種は美しい花を咲かせますが、いずれ枯れて絶えてしまいます。私たち人間も同じです。生まれ、育ち、老いて、いつかは死ななければなりません。この移り変わりの事実を瞑想して理解を深めます。苦しみの源である執着心が小さくなります。
◆発菩提心の瞑想 generating mind སེམས་བསྐྱེད
すべてての生き物は私たちの母親だったと、経典では述べられています。なぜならば私たちは、なん度も生まれ変わりを果たしてきたからです。その時々、お母さんは惜し みない愛情を注いでくれたはずです。私たちの瞑想も、母親だったすべての生き物の幸せを目指すのです。
◆帰依の五体投地 refuge and prostration སྐྱབས་འགྲོ་དང་ཕྱག
ダルマに対する帰依の気持ちを、五体全身で表現します。五体投地の動きひとつひとつの意味を学びながら、ブッダや神々が集う集会樹(資糧界)を心に思い浮かべ、言葉は帰依のマントラに傾けます。心と言葉と身体のすべてを使う、チベットらしいレッスンです!
◆浄化の百音節真言 100syllables སྡིག་གཤགས
どんなに気をつけていても、日常生活の中で罪を重ねてしまうのは、仕方のないことです。ボン教やチベット仏教では罪を10種類に分類して、十不善と名づけています。積み重ねてきた、身体と言葉と心の罪を浄化するために、効果的なのがこの真言です。心をこめて、なん度もなん度も、この真言を唱えることが要点です。
◆三種の真髄マントラ瞑想 three essential mantra སྙིང་པོ་རྣམ་གསུམ
浄化とはなにをキレイにするのでしょうか?浄化とは、心の穢れをキレイにお掃除することなのです。心の穢れとは、カルマのことです。前世からのカルマは、アラヤ識という心に貯蔵されているのです。カルマを浄化して、あなたのアラヤ識を掃除するのが、真髄マントラなのです。
◆マンダラ供養 mandala offering མཎྜལ
なにごとも、原因と結果の因果律(カルマの法則)に結びついています。ダルマを学ぶにあたって、良い結果が得られるように、原因となる功徳を積むことは重要なことです。「マンダラ供養」は、速やかに無量の善行を積める素晴らしい方法です。実際にお米を使う場合と、手印でマンダラを作り上げる方法があります。
◆グル・ヨーガ guru yoga བླ་མའི་རྣལ་འབྱོར
ダルマや瞑想を学ぶ時には、信心と祝福が重要だとされます。祝福は祈りからもたらされます。すべてのブッダやラマのエッセンスである、タピリツァの祝福を得ることにより、深遠な教えの扉が開かれます。グル・ヨーガの節は素朴でどこか懐かしく、外国人にも大変人気があります。朝起きる前と夜寝る前に、この瞑想をするのがポイントです。
死に向き合いたい方におススメ
(初心者の方でも参加可能です)
◆ポワの瞑想-意識の転移 powa transefer འཕོ་བ
未知の死に向き合うことは、とても不安なことです。十分な瞑想修行を積めなかった人にとって、頼りになるのがポワの瞑想です。この瞑想では、臨死に当たって、あなたの心をブッダの浄土に向ける練習をするのです。安らかな気持ちで、この世界から旅立つ準備をしましょう。チベットでは、とてもポピュラーな瞑想です。
◆浄化の九回呼吸法 nine breathing purification དུག་གསལ
あらゆる苦しみや悲しみの原因は、煩悩だといわれています。煩悩とは、“むさぼり”と“怒り”と“おろかさ”の三毒のことです。特殊な呼吸法を使って、この三毒を鎮めてしまいましょう。身体の中に光り輝く三つの脈管を作り出し、その管の中をお掃除します。毎日の仕事や生活の中で、心が乱れた時にこの呼吸法が役に立ちます。
◆夢のヨーガ sleeping meditation and dream yoga
夜寝ている時に夢を見ます。楽しい夢、悲しい夢、幸福な夢、恐ろしい夢。その内容はさまざまですが、夢の中ではまるで現実のようにありありと感じています。夢のヨーガによって、この夢を自由にコントロールします。昼間ダルマ(仏法)を実践出来ない人でも、夢の中なら実践する時間があります。夢と死はとても似ています。夢の時間とチベット死者の書の関係にも触れます。
◆微笑むダーキニーのチュウ cutting practice གཅོད
ダーキニーは女性のブッダです。その手には、鋭い曲刃が握られています。ダーキニーに変身して、イメージの中で執着の源である身体を切り刻み、美味しい甘露のスープを作ります。不幸な生きものをパーティーに招き、苦しみを癒してあげましょう。自分自身の執着心を粉々に砕きながら、心の底から生れてくる慈悲を体験するのが目的です。女性におススメの瞑想ですが、男性もぜひどうぞ。
心に取り組みたい方におススメ
(誰でも参加可能です)
◆心を発見するア字の瞑想 Ate meditation ཨ་བསྟད
心とはどんな形をしていて、どんな色をしているのでしょうか。常に揺れ動く心を、チベット文字の白いア字を使って捉まえましょう。そして、心の姿を探ってみましょう。いよいよ本格的な瞑想のはじまりです。とてもシンプルな瞑想ですが、心についての直接的な知識をもたらしてくれます。
◆『ゾクチェン・シャンシュン・ニェンギュ』
Zhang Zhung Nyen Gyu རྫོགས་པ་ཆེན་པོ་ཞང་ཞུང་སྙན་རྒྱུད།
数あるボン教ゾクチェンの教えの中で、最も優れた教え。8世紀に編纂されたこのゾクチェンでは、テクチュやトゥゲルの方法に頼ることなく、直接ゾクチェンのありのままの境地を目指している。途轍もなく古い教え。すべてのゾクチェンの源だと言われています。
◆『15章から成るゾクチェン・アティの教え』
Dzogchen Atri མན་ངག་ཁྲིད་ཀྱི་རིམ་པ་ལག་ལེན་ཐུན་མཚམས་དང་བཅས་པ་བཞུགས་སོ།
13世紀にボン教のラマによって編纂された教え。段階的にゾクチェンを学ぶこの教えの中では、加行、ア字観、ツァルン、夢の瞑想などの教えがコンパクトに収められています。実践的な内容。経部『カパ・グコル』を元にしている。